年末調整のいろいろな控除申告書

年末調整事務において、社員より提出されたいろいろな控除申告書の記載内容をひとつひとつチェックしていくことから始めましょう。
1、平成○○年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この申告書のニックネームは、「マル扶」です。申告書の右上に○で囲まれた扶養の「扶」の字が書かれています。
この申告書に記載された内容により、
・配偶者控除
・扶養控除
・障害者控除
・寡婦控除
・寡夫控除
・勤労学生控除
・基礎控除
という控除を受けることができます。
この申告書で受けられる控除に「基礎控除」が入っていますので、この申告書を提出しないと、基礎控除を受けられないどころか、年末調整自体ができませんので、注意が必要です。

2、平成○○年分 給与所得者の配偶者特別控除申告書
この申告書のニックネームは、「配特」です。申告書の右上に○で囲まれた配偶者特別の「配特」の字が書かれています。
この申告書に記載された内容により、
・配偶者特別控除
という控除を受けることができます。

3、平成○○年分 給与所得者の保険料控除申告書
この申告書のニックネームは、「マル保」です。申告書の右上に○で囲まれた保険の「保」の字が書かれています。最近では、「配特」と「マル保」が1枚の兼用の用紙になっています。
この申告書に記載された内容により、
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・社会保険料控除(申告分)
・小規模企業共済等掛金控除(申告分)
という控除を受けることができます。この控除申告書は、記入するだけではなく、保険会社が発行する「保険料控除証明書」を添付しなければなりません。
1~3の用紙は、税務署から配布されるだけでなく、国税庁のホームページで、ダウンロードすることができます。

4、平成○○年分 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
この申告書に記載された内容により、
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除
という控除を受けることができます。
この申告書は、控除を受けることになる各年分を一括して税務署が社員さんに送付しています。社員さんへの確認が必要です。この控除は「税額控除」といって、所得税額の計算結果から控除することのできる大きな控除です。

これらの控除申告書を社員さんから受け取り、年末調整事務を始めましょう。
といいましても、年末調整事務担当が、1~3の用紙を社員さんへ配布して、提出締切を決めて、完璧に集めないと年末調整の計算ができません。すべてがそろってからでないと、後出しされては、計算のやり直しとなり、効率がさがります。
経理の方でできることはやってあげましょう。本人記入が原則ではありますが、代筆して、本人の認印を押せば同じことです。
住所氏名や扶養家族などは、昨年分をそのまま記入してから本人さんに渡してあげると、本人さんはハンコを押すだけとなります。これは、ひとつの裏ワザといえますね。