年末調整のしかたについてお話しを進めて行きますが、なによりもまず「年末調整とは何か?」についてお話ししなければなりません。
会社から給料をもらっている人は、その給与明細を見ますと、「源泉所得税」という項目があり、毎月給料から天引きされていることにお気づきでしょう。
この源泉所得税とは、会社が社員の所得税を徴収して、毎月国にまとめて納税している税金のことです。
では、源泉所得税と所得税はどこが違うのでしょうか?
その違いは、「源泉」という言葉に現われています。順を追って話しします。
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの所得を計算して確定申告をする。そこで算出された所得税を納税するのです。ただし、所得の種類は1つではありません。お商売をされていたなら、事業所得があります。山を持っていて収入があれば、山林所得。貸家をもっていたら、不動産所得。そして我々会社員は給与所得があります。他にも所得がありますが、年末調整に関係するのは、給与所得だけです。
この広い日本の中で、どの種類の所得を得る人が多いでしょう?
職業で会社員が多いのですから、給与所得を得る人が多い、という訳ですね。
そこで、想像してみてください。
日本中のサラリーマンが3月15日にお近くの税務署に殺到している光景を!
確定申告の時期には、税務署が毎年、「パンク」しています。確定申告の相談を受けたり、確定申告の受付をしたり、そして確定申告の内容が正しいかどうかを計算する、、、。
確定申告は、所得税の確定申告ですから、税務署の「所得税部門」の方々が活躍するのは当然ですが、この時期には、他部門の応援がないと処理しきれません。そして、税務署はパンクするのです。
さぁ、もうすでに現在、確定申告の時期に税務署はパンクしているのですよ。それにプラスして日本中のサラリーマンが大挙して税務署へ押しかけるなんて、想像を絶しますよね。
そこで、税務署は考えました。サラリーマンは会社に属しており、そこから給料をもらっている。大半のサラリーマンは1か所からだけ給料をもらっている。会社は毎月、給料の計算をしている、、、。そうだ、給料の計算のときに所得税の計算も一緒にしてもらおう。そして、その給料から税金を天引きして、会社が納税するようにしたら、税金の申告漏れや取逃がしがなくなるし、、、。
うまく考えましたね。この一連の給与計算(税金計算)と納税を「源泉徴収事務」といいます。このおかげで、給与所得者は確定申告をしたとみなされます。
毎月給料から天引きすることを「所得税を源泉徴収する」といいます。源泉徴収の金額は、決められています。「源泉徴収税額表」に基づいて徴収されます。しかし、源泉徴収税額表に記載されている税額は、実は多い目に計算されており、12月にもらう給料又は賞与の遅い方の支払いが済んだときに、精算するのです。これを「年末調整」といいます。
会社員の方は、
「年末調整で○○円ゲットしたぜぇ!」と喜んでいますが、これは自分のお金です。毎月の源泉徴収の「おつり」です。